コロナ禍以降、オンラインの業務が一般的となりつつある昨今。相手と直接顔を合わせないテキスト上でのコミュニケーションがうまくいかず、
悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
BOELでは社内チャットのアイコンやチャットで使用するスタンプを見直し、コミュニケーションの改善を試みました。
今回は導入までの経緯や実際の効果、プロフィールアイコンによるセルフブランディングの事例をご紹介します。
DESIGNER
A.K.
BOELでは、日々の業務でSlack※1※1Slackは、スチュワート・バターフィールドによって開発され、2013年に市場導入されたチームコミュニケーションツール。 Slackという名称は"Searchable Log of All Conversation and Knowledge"のアクロニム。というチャットツールを使って、メンバーとのやりとりや連絡をしています。
以前はBOELのロゴをそれぞれの好きな色に変更してアイコンにしていました。
※1 Slackは、スチュワート・バターフィールドによって開発され、2013年に市場導入されたチームコミュニケーションツール。 Slackという名称は"Searchable Log of All Conversation and Knowledge"のアクロニム。
ロゴを使ったアイコンはシンプルで統一感があるのですが、スタッフの識別や個性を表現できる要素は色のみでした。
また、業務上 Slackは欠かせないツールで、最早もう一つの職場でした。
そんな中で頻繁にやり取りする相手のアイコンがロゴのみのため、やや無機質にも感じられました。
実際に、相手の顔や声色などが分からないテキスト上でのやり取りに、冷たい印象を感じているというスタッフの声も。
そこで、アイコンにロゴを使うのをやめてスタッフ全員の似顔絵に変えてみることにしました。
スタッフ一人一人の個性を一枚のアイコンで伝えるためにあえて写真ではなく、調整や演出が自在なイラストを採用しました。
作成の工程は、スタッフの写真撮影→ラフ作成→着彩→背景設定と言った流れで作成しました。
意識したことは以下のポイントです。
・スタッフ一人一人の個性を大切に
・BOELらしさを意識する
・笑顔
1つ目のポイント「スタッフ一人一人の個性を大切に」
まずこれを最優先で、意識しました。
写真から得られる印象以外に、自分が普段その人と接して感じたチャームポイントや、
性格をしっかり反映することで、実際にアイコンとして使用した際に
相手がよりその方を認識できるかなと考えていたためです。
印象を調節できるところが、イラストを採用する利点です。
2つ目のポイント「BOELらしさを意識する」
具体的には、描かれる服装と背景の色をBOELのブランドイメージに調整しました。
これはスタッフの統一感、チームの一体感を視覚的に表現するという狙いがあります。
BOELではスタッフの服装をオフィスカジュアルと定めていますが、お客様とのMTGでは必ずスーツやジャケットを着用します。
そのため、絵の中でもピシッとした礼儀を重んじる服装に調整しました。
もちろんその際にも被写体の個性を尊重した服を選んでいます。
背景色は、原色を使わず優しい雰囲気の水彩でパステルカラーを採用しました。
雰囲気が明るく、並べた時もかわいくて気に入っています。
3つ目のポイント「笑顔」
これも1つ目のポイントと同様、実際にアイコンとして使用した際のことを考えて
笑顔を重視して描きました。
同じ文章でもアイコンが笑顔か無表情かで、受け取る印象が変わります。
・・・
いかがでしょうか?
内容にもよりますが…笑顔の表情があるだけで、安心感がある気がします。
これまでアイコンを作成した過程と意図を紹介しました。
実際に使用してみてどうだったのか、スタッフに感想を聞いてみました。
・誰からの発信なのか、一目で分かってとてもわかりやすい
・ニコニコ笑顔で話しかけられているようで、とても良い気分です
・顔の見えないテキストだけだと、冷たい印象を受けることもあるが、似顔絵があることでその人の声色や人柄を思い出せて安心する
・BOELのロゴがアイコンだった時と比べて、その人からメッセージをもらっている感が強まったと思います。
・リモートの人からもカメラをオンにしているような気持ちになれた。
・いつもニコニコで話しかけられてる気分で、仮に辛辣だっり厳しいと感じるような連絡が来たとしても、前向きに受け取れます。
このように、アイコンを変えるというちょっとした工夫が、笑顔で話しかけられているように思えることで、相手から来るメッセージの受け取る印象に大きな変化があったことがわかります。
複数の人が日々たくさんの投稿をするチャットツールでは、誰が発信しているかがすぐにわかることで仕事の効率化に繋がったという効果もありました。
自社以外の実例をみてみましょう。
富士通株式会社では組織のカルチャーをアップデートする方法として、
アイコンを変える試みを行っています。
まず富士通株式会社のセルフブランディング※2※2セルフブランディングとは、企業や組織に所属しない「個人」が自らをメディア化し、自らの力でプロモーションすること。は「従業員1人1人が自分らしさを理解し、それを強みとすること」
そこから「ワタシブランディング」といった取り組みを掲げ、社員一人一人の個性を重視した改革が進められていきました。
(以下引用)
自分らしさの獲得・表現と組織カルチャーのアップデートに向けた取り組みとして、「ワタシブランディング」が注目したのは、社内コミュニケーションツールのプロフィール写真(アイコン)でした。
従来の「証明写真」のようなアイコンから、「ペットと一緒に」「イラスト」「好きな風景」といった、個性あふれる写真へと変更。
また、プロフィール写真にまつわる社内イベントの企画、AIによる写真のイラスト化アプリ開発などのアプローチを進めています。
プロフィール写真の効果を確かめるために下記のような実験を行っています。
「プロフィール写真のもたらす効果について実証」
<実験方法>
全60名を対象に証明写真とカジュアルなプロフィール写真のセット5つを見せ、4カテゴリにてそれぞれの印象をパーセンテージでアンケート回答。
気になるアイコンの効果ですが、以下のような結果が出ています。
まず、プロフィール写真を見て「気軽に話しかける」ことをためらってしまうということがある、と回答した比率が49%であるといった結果が得られました。プロフィール写真1枚が変わるだけで、周りの人から見る印象は変わりそうです。
また、プロフィール写真が証明写真の場合、それ以外の比較的カジュアルな写真の場合を比較した時、後者は前者と比べて信頼度9%上昇、心理的安全性※3※3「心理的安全性」とは、「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語に訳した心理学用語で、どのような言動をとっても拒絶されない状態のこと。10%上昇、相談しやすさ16%上昇、好感度15%上昇といった結果を得ることが出来ました。
プロフィール写真によってコミュニケーションが改善されていることがデータにも出ているようです。
画像を変えるだけなので、気軽に実践できるのもいいですね。
※2 セルフブランディングとは、企業や組織に所属しない「個人」が自らをメディア化し、自らの力でプロモーションすること。
※3 「心理的安全性」とは、「サイコロジカル・セーフティ(psychological safety)」を日本語に訳した心理学用語で、どのような言動をとっても拒絶されない状態のこと。
今回はインナーブランディングとしてのSlackアイコンとスタンプの改修について紹介しました。
スタッフ同士のコミュニケーションは、会社の居心地や仕事のパフォーマンスに直結する重要なものです。
顔の見えないテキスト上でのやり取りの際には、アイコンやスタンプを工夫してみてはいかがでしょうか。
今日もあなたに気づきと発見がありますように
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