• 2020.11.18
  • Vol.115
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AIと機械学習とディープラーニング どんなことができるのか

最近、AI(人工知能)、機械学習、ディープラーニング(深層学習)といった言葉をよく聞くようになりました。しかしそれぞれ何を指して、何ができるのでしょうか。今回はそれぞれの言葉の違いと、どんなことができるのかをみていきたいと思います。

DEVELOPER

Y.F.

AI、機械学習、ディープラーニングの関係

AI、機械学習、ディープラーニングの関係

まず、それぞれの言葉の関係について知っておきましょう。
ざっくり言ってしまえば、「AI > 機械学習 > ディープラーニング」という関係になっています。
機械学習はAIの一分野であり、ディープラーニングは数ある機械学習の技術の一つです。

AIと機械学習、ディープラーニングの関係

AI(人工知能)とは

AIは「Artificial Intelligence」の略であり、概念的なものです。人間の知能・知性を代替する機械の総称とされています。
研究者や研究機関によって解釈がバラバラで、具体的な定義はないようです。

AIは「特化型AI」と「汎用型AI」または、「強いAI」と「弱いAI」に分類できます。

「特化型AI」と「汎用型AI」

「特化型AI」とは、特定の領域の課題に特化して自動的に学習、処理を行うAIを指します。
画像認識や音声認識、自然言語処理などの技術を持つAIです。現在広く活用されている人工知能は「特化型AI」に分類されます。

対して「汎用型AI」は特定の作業やタスクに限定せず、人間と同等もしくはそれ以上に様々な課題を処理できるAIを指します。
人間は想定外の出来事が起きた場合でも、これまでの経験に基づいて総合的に判断し、問題を解決できます。
現在、「汎用型AI」の実現への方法は明らかになっていないようですが、日本では汎用人工知能研究会などが汎用型AIの開発に力を入れているようです。

特化型AIと汎用型AIの関係

「強いAI」と「弱いAI」

「強いAI」と「弱いAI」という分類方法は、アメリカの哲学者 ジョン・サールが1980年に論文「MINDS, BRAINS, AND PROGRAMS」の中で提唱した、「AIが人間の意識や知性を持つかどうか」という観点での分類になります。
「強いAI」とは、人間のような自意識を備え、意思を持って学習や判断、処理ができるAIのことです。対して「弱いAI」は自意識を持たないため、プログラムされていない想定外の状況への対応はできません。

「強いAI」と「汎用型AI」の違いについては、人工知能に自意識があるかどうかというところにあるようです。

強いAIと弱いAIの関係

機械学習とは

「データからパターンやルールを機械自身に見つけさせる仕組み」のことです。
先に挙げたAIの種類のうち、特化型AIに分類されます。
機械学習にも学習の種類がいくつかあります。

教師あり学習

「教師あり学習」とは学習データに正解を与えた状態で学習させる手法のことです。

教師あり学習で解く問題で代表的なものに、連続する数値を予測する「回帰」と、あるデータがどのクラスに属するかを予測する「分類」があります。

「回帰」の例として、平均気温や天候といったデータと、商品の売り上げの関係を学習し、将来の販売個数を予測するのに使われます。

「分類」の例として、迷惑メールの振り分けが挙げられます。
迷惑メールか否かが分かっているクラス分けがされたデータから、文章の特徴とクラスの関係を学習し、新着メールが迷惑メールか否かを予測しています。

ウェザーニューズでは、従来の天気予報で使用されていたアメダス以外に、独自で収集した様々なデータを教師あり学習で学習させることで、天気予報の精度を高める取り組みを行っています。

予報精度向上の取り組み - ウェザーニュース

教師なし学習

「教師なし学習」とは、学習データに正解を与えない状態で学習させる手法のことです。
例えば大量のメールを教師なし学習で学習すると、文章の特徴が似ているかどうかでグループ分け(クラスタリング)できます。

キユーピーは食品工場の製造ラインにて原材料の不良品検知をAIによって行っていますが、教師なし学習を用いて良品のみを学習させ、それ以外を異常検知として検出しています。

食品製造ラインに流れる不良品を人工知能(AI)で検知(株式会社ブレインパッド)

強化学習

「強化学習」は、主にゲームやギャンブルなど、結果が出るまでに時間がかかったり、多数の繰り返しが必要になるタスクにおいて、機械が実際に行動しながら試行錯誤を繰り返し、最適な戦略を学習する手法のことです。

世界で初めて人間のプロ囲碁棋士を相手にハンデなしで破り、世界的なAIブームの火付け役となった「AlphaGo」はこの強化学習を使用した技術です。

AlphaGo公式サイト

機械学習の種類

ディープラーニングとは

「ディープラーニング(深層学習)」とは、人間の脳神経回路を模したモデルである「ニューラルネットワーク」を複数重ねた「ディープニューラルネットワーク」を用いた機械学習の手法のことです。

従来の機械学習ではデータのどの要素が結果に影響を及ぼしているのかを人間が判断、調整する必要がありますが、ディープラーニングでは十分なデータ量があれば、人間の力なしに機械が自動的にデータから特徴を抽出できます。
これにより、人間が見つけられない特徴を学習できるようになり、人間の認識・判断では限界があった分野の技術が飛躍的に向上しました。

ニューラルネットワークとディープニューラルネットワークの図解

では、ディープラーニングが実際に使われる分野にはどのようなものがあるのでしょうか。
活用例をいくつか挙げてみました。

画像認識

画像や動画を入力して文字や顔などの特徴を認識・検出する技術です。 背景から特徴を分離抽出しマッチングや変換をおこない、目的となる特徴を特定し認識します。

自動車の自動運転技術は画像認識を用いて道路の状況を解析しています。
日本では2020年4月に、限定的な環境下もしくは交通条件のみシステムが自動運転を行う、レベル3の自動運転に対応した自動車の販売が許可されました。
Hondaの「レジェンド」は、2020年11月に世界で初めてレベル3の自動運転技術の認可を受け、2020年度中に市販化する予定です。

自動運転(Automated Drive) | Honda

音声認識

音声を認識させる技術です。人間の声を認識してテキストに出力したり、音声の特徴をとらえて声を出している人を識別したりできます。

Empathは音声の物理的特徴量を解析し、言語に依存せずにリアルタイムで感情を解析しています。
コールセンターのシステムに組み込み、顧客とオペレータの感情を可視化したり、ロボットに搭載することで人と自然なコミュニケーションができるようになっています。

Empath公式サイト

自然言語処理

人間が日常的に使う自然言語(書き言葉・話し言葉)をコンピューターに処理・理解させる技術です。

Amazon Echoなどに搭載されているAlexaは、音声認識と組み合わせることで、話しかけられた言葉を解析し、どういう意味なのかを理解して様々なタスクをこなすことができます。

Alexaとできること | Amazon

予測

その名の通り将来を起こる事象を人工知能により予測する技術のことです。過去の膨大な量のデータを分析することで可能となります。

SPAIAは野球やサッカーなどのスポーツのデータを解析し、試合の勝敗や選手の動き、戦術の予想を行っています。

スパイア【SPAIA】|スポーツ×AI×データ解析 総合メディア

まとめ

今後、AIの技術の進歩によって、さらに活用される機会が増えることでしょう。
また、5G通信網の広がりに応じて、取得可能なデータの種類や量が増え、AIが活用できることも増えていくと考えられます。

そんな中、それぞれの技術について理解していくことは重要です。この記事が理解の一助になれば幸いです。

出典:人工知能・AIとは | 基本知識・歴史・未来 | Ledge.ai

出典:ディープラーニングと従来の機械学習の違いは?| AI専門ニュースメディア AINOW

出典:ディープラーニング(Deep Learning)とは?【入門編】| LeapMind inc.

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