Design Management

Vol.115

author

エンジニア

Y.F.

AI時代の経営判断とは

- 人と機械の役割を決める

この記事の対象:
AI活用を考える経営者新規事業責任者ブランド変革責任者
AI時代の経営判断で大切なのは、技術を導入すること自体ではない。何を良くするのかを定め、人に残す判断と機械へ任せる処理を分け、結果への責任を持てる仕組みをつくることだ。
dotted lineこの記事の対象
AI活用を考える経営者新規事業責任者ブランド変革責任者
dotted line

この記事でわかること

  • AI・機械学習・深層学習の違い
  • AI活用で先に決めること
  • 人と機械の役割分担
  • 導入判断の四つの軸
  • 小さく試して見直す方法
stuffstuff

AI時代に経営が決めるべきことは何か

AI時代に経営が決めるべきことは何か

導入より先に、目的と責任を決める

導入より先に、目的と責任を決める

AIを使うことが目標になると、現場は使い道を探すところから始めてしまう。その結果、作業は増えたのに、お客さまの価値や事業の成果が変わらないということになる。

まず初めに決めるのは、どの課題を、誰のために、どのように良くするかです。時間を減らすのか、見落としを減らすのか、新しい選択を支えるのか、である。目的が変われば、必要なデータと仕組みも変わる。

もう一つは責任の所在だ。AIの提案を誰が確かめ、誤りが起きた時に誰が止め、説明するのか。導入前に役割を決めることが、信頼できる活用の土台となる。

AI・機械学習・深層学習は何が違うのか

AI・機械学習・深層学習は何が違うのか

大きな箱と、その中の学び方で捉える

大きな箱と、その中の学び方で捉える

AIは、人が知的だと考える処理を機械で行うための広い考え方である。文章を扱う、画像を見分ける、予測する、計画を助けるなど、目的とやり方はさまざまだ。

機械学習は、AIを実現するやり方の一つで、人がすべての規則を書くのではなく、データから特徴や関わりを学び、予測や分類に使う。

深層学習は、機械学習の中にあるやり方で、多くの層を持つニューラルネットワークを使う。大切なのは用語を覚えることではなく、自社の課題にどのやり方が必要かを技術者と話せることにある。

人とAIはどう役割を分ければよいのか

人とAIはどう役割を分ければよいのか

機械は候補を広げ、人が意味と責任を担う

機械は候補を広げ、人が意味と責任を担う

AIは、大量の情報を短い時間で整理し、似た例を探し、複数の案を出すことに向いている。人が見落としやすい傾向へ気づくきっかけにもなる。

人は、何を良い結果とするかを決め、背景を読み、相手への影響を考える。数字に表れない事情や、会社が守りたい価値を含めて、最後の判断を引き受ける。

役割分担は固定ではない。影響が小さく、やり直せる仕事は自動化を進めやすい一方、人の権利、安全、信頼へ大きく関わる判断には、より強い確認と説明が必要だ。

AI導入は何を基準に判断すればよいのか

AI導入は何を基準に判断すればよいのか

価値・データ・影響・説明で確かめる

価値・データ・影響・説明で確かめる

第一は価値である。お客さまや働く人の何が良くなるのかを言えないなら、導入を急ぐ必要はない。第二はデータで、集め方に偏りがないか、使う権利があるか、更新を続けられるかを見る。

第三は影響。誤った時に起きる不利益と、やり直せる範囲を考える。第四は説明で、なぜその結果になったのかを、使う人や影響を受ける人へ伝えられるかを確かめる。

四つを同じ表で比べると、効果だけを見て進めることを防げる。技術の精度だけでなく、事業の約束や組織の責任と合うかを経営陣が判断する。

AIはどう試し、どう見直せばよいのか

AIはどう試し、どう見直せばよいのか

範囲を絞り、前後を比べ、責任者が見る

範囲を絞り、前後を比べ、責任者が見る

まず、対象の仕事と使う人を絞る。今の時間、誤り、負担を記録し、AIを使った後と比べます。速さだけでなく、判断の質や安心も見る。

試す間は、入力、出力、人が直した中身を残す。思いがけない答えや偏りが起きた時に、原因をたどれる状態が必要だからだ。NISTのAIリスク管理の考え方でも、統治、状況の把握、測定、管理を継続して行うことが示されている。

うまくいく条件だけでなく、止める条件も決める。誤りが一定を超えた時、説明できない時、負担が増えた時に立ち止まり、目的から見直すことが大切だ。

PROJECTSではAIの意味をどう伝えたのか

PROJECTSではAIの意味をどう伝えたのか

RBIは、研究者の創造性を広げる未来を示した

RBIは、研究者の創造性を広げる未来を示した

BOELが支援したRBIは、ロボティクスとAIで創薬研究を支える会社。高度な技術を説明するだけでは、その先にあるかちが研究者や投資家、社会へ伝わりにくい課題があった。

そこで、研究を自動化する会社ではなく、反復作業を技術が支え、研究者が創造的な思考へ集中できる環境をつくる存在として、会社の意味を捉え直した。

この事例は、AIの導入目的を「人を減らす」だけに置かない大切さを示す。人と技術が何を分担し、どんな未来を実現するのかを語れると、技術は社会が理解できる価値へ変わっていく。

AI時代こそ人の判断軸が必要になる

AI時代こそ人の判断軸が必要になる

技術を選ぶ前に、望む未来を選ぶ

技術を選ぶ前に、望む未来を選ぶ

AIは、多くの案や予測を出せる。しかし、どういった未来を望み、誰への影響を引き受けるかは、会社と人が決めることだ。

BOELは、技術から使い道を考えるのではなく、実現したい体験や事業の意味から問いを立てる。そのうえで、人に残す判断と機械へ任せる処理を分ける。

判断軸が明らかなら、AIは会社の意志を弱めるものではなく、実行を支える道具になる。AI時代の経営には、速く答える力と同じくらい、何を問うかを決める力が必要なのだ。

この記事のテーマ

#AI(人工知能)#機械学習#深層学習#経営戦略#Design the Decision

FAQ

AI時代の経営判断とは何ですか?
AI時代の経営判断で大切なのは、技術の導入自体ではありません。何を良くするのかを定め、人に残す判断と機械へ任せる処理を分け、結果への責任を持てる仕組みをつくることです。
AI・機械学習・深層学習は何が違うのか?
「大きな箱と、その中の学び方で捉える」と捉えることが要点です。AI活用で先に決めることを手がかりに、今ある取り組みや接点を一つずつ見直すと整理しやすくなります。
PROJECTSではAIの意味をどう伝えたのか?
まずは「RBIは、研究者の創造性を広げる未来を示した」という考え方で、一つの接点や判断に絞って試します。最初から全体を変えず、結果を見ながら少しずつ広げていく方法が現実的です。
PREV
Vol.112ユーザビリティとは|初めてでも迷わない設計
NEXT
Vol.121人の心を動かすブランディングとは

MORE FOR YOU

ビジョンをデザインし、ブランドの未来を変える次の視点。