Brand Strategy / BX

Vol.191

author

ストラテジック・デザイナー

T.M.

この記事の対象:
中小企業の経営者事業責任者ブランド・広報責任者

ブランド戦略とは|事業と組織をつなぐ

- ブランドを表現で終わらせず、事業・組織・体験の判断軸にする

#ブランド戦略#ブランドマネジメント#経営戦略#企業ブランディング
ブランド戦略とは、ロゴや広告の方針ではなく、事業戦略・組織文化・顧客体験を同じ判断軸(何を選び何を選ばないかの基準)でつなぐ経営活動です。ブランドがうまく働かない原因は、表現が足りないことではなく、経営・現場・接点の判断がばらばらになっていることにあります。
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中小企業の経営者事業責任者ブランド・広報責任者
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この記事でわかること

  • ブランド戦略が表現で止まる理由
  • 事業・組織・体験を統合する考え方
  • 分析を判断軸へ変える実践のしかた
  • 事例に学ぶ全社へのブランド浸透
  • ブランド戦略とDesign the Decision
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なぜブランド戦略は、現場で機能しないのか

なぜブランド戦略は、現場で機能しないのか

ブランドの約束が、事業と組織の判断に落ちていないから

ブランドの約束が、事業と組織の判断に落ちていないから

ブランド戦略をつくったのに、現場の行動が変わらない。Webサイトや広告でははっきりしたメッセージを出しているのに、営業・採用・商品開発・カスタマーサポートではばらばらの判断がおこなわれている。こうした状態では、ブランドは顧客に一貫した体験として伝わらない。

原因は、ブランド戦略が「表現の方針」としてあつかわれていることにある。ブランドは、ロゴやコピーで語る前に、どの事業を選び、どの顧客に向き合い、どの行動を評価するのかという判断のなかにあらわれる。

BOELがDesign the Decision(意思決定を設計するという考え方)としてとらえるブランド戦略は、表現をそろえることではなく、意思決定をそろえることだ。経営・戦略・現場・顧客接点が同じ判断軸を見られる状態をつくることが、ブランドをはたらかせる第一歩になる。

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ブランド戦略とは何を統合することか

ブランド戦略とは何を統合することか

事業戦略・組織文化・ブランド体験を一つの軸でつなぐ

事業戦略・組織文化・ブランド体験を一つの軸でつなぐ

ブランド戦略がそろえるべきものは三つある。第一に、事業戦略。どの市場で、誰に、どの価値をとどけるのか。第二に、組織文化。社員が日々どのような判断をし、何をよい仕事と見なすのか。第三に、ブランド体験。顧客や採用候補者、取引先、社会が、どの接点で会社をどう理解するのか。

この三つがそろっていなければ、ブランドは強くならない。事業は高い付加価値をめざしているのに、現場は値引きで受注する。挑戦をかかげているのに、評価のしくみは失敗をさける行動をうながす。社会的な価値を語っているのに、顧客体験にはその姿勢があらわれない。

ブランド戦略とは、こうした矛盾を見えるようにし、どの判断軸でそろえるかを決めることだ。分析フレーム(市場や自社を整理する道具)はそのための材料であり、最後は日々の意思決定につかえる言葉へ変えていく必要がある。

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分析フレームは、どう使えばブランド戦略になるのか

分析フレームは、どう使えばブランド戦略になるのか

情報整理ではなく、選択の基準へ変換する

情報整理ではなく、選択の基準へ変換する

PEST・3C・SWOT(市場や競合、自社を整理する代表的な分析の枠組み)は、ブランド戦略に役立つ。ただし、表をうめるだけでは戦略にならない。大事なのは、分析で見えた事実を、どの市場で戦うか、どの顧客に向き合うか、どの価値を捨てるかという判断へ変えることだ。

たとえば、社会の価値観が変わっているとわかったなら、自社はどの価値観に応えるのかを決める必要がある。競合が機能や価格でならんでいるなら、自社はどの体験でちがいをつくるのかを決める必要がある。自社の強みが見えたなら、それをどの接点で顧客に体験してもらうのかを設計する必要がある。

ブランド戦略は、情報の整理ではなく、選択の設計である。選ばないことを決めなければ、ブランドの輪郭はあいまいなままになる。

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事業の変化を、どうブランドとして浸透させるのか

事業の変化を、どうブランドとして浸透させるのか

存在意義を、組織と社会の接点へ実装する

存在意義を、組織と社会の接点へ実装する

同じ課題に向き合ったPROJECTSの事例がある。SocioFutureでは、旧「日本ATM」というイメージが強くのこるなかで、金融インフラをささえる企業としての存在意義を定義しなおす必要があった。キャッシュレス化がすすむ社会において、同社の価値はATMの管理だけでは説明しきれなくなっていた。

BOELは、「誰も取り残さない社会」をささえる存在としてブランドアイデンティティ(その会社らしさの核)を整理し、事業・採用・広報・Webサイトを横断してブランドの考えが伝わる構造を設計した。ブランドをただの見た目の刷新ではなく、組織全体の判断軸として根づかせている。→ 事例を読む:https://www.boel.co.jp/projects/sociofuture/

この事例がしめすのは、ブランドの統合には、言葉の刷新だけでなく組織の行動と接点の作りなおしが必要だということだ。存在意義が日々の判断に落ちたとき、ブランドは社内外へ一貫して伝わる。

組織文化は、どうブランド戦略とつながるのか

組織文化は、どうブランド戦略とつながるのか

行動・制度・学習にブランドの判断軸を埋め込む

行動・制度・学習にブランドの判断軸を埋め込む

ブランド戦略を組織文化へつなぐには、社員にメッセージを共有するだけでは足りない。評価のしくみ、採用の基準、入社後のオンボーディング(受け入れ・立ち上がり支援)、会議での判断、顧客対応のルールに、ブランドの判断軸を組み込む必要がある。

たとえば「信頼」をかかげるなら、顧客対応の速さだけでなく、説明のわかりやすさや約束をまもる行動を評価する必要がある。「挑戦」をかかげるなら、失敗をさける行動だけを評価していては矛盾する。ブランドの言葉としくみがちがう方向を向いていると、社員はどちらを信じればよいかわからなくなる。

組織文化は、日々の小さな判断のつみ重ねでつくられる。だからこそ、ブランド戦略は人事や組織づくりとも結びつけなければならない。

ブランド統合は、どこから始めるべきか

ブランド統合は、どこから始めるべきか

ギャップを可視化し、判断軸を運用する

ギャップを可視化し、判断軸を運用する

最初にやるべきことは、ブランドのギャップ(ずれ)を見えるようにすることである。経営者が語る会社像、社員が説明する会社像、顧客が体験している会社像、採用候補者が受け取る会社像をくらべる。ここでずれが見えれば、どこから整えるべきかがはっきりする。

つぎに、ブランドの判断軸を決める。どの顧客に向き合うのか。どの価値を優先するのか。どの行動を評価し、どの表現をさけるのか。その軸を、事業計画・商品開発・採用・広報・Webサイト・営業資料へ反映する。

最後に、運用とふり返りをおこなう。ブランドの統合は一度のプロジェクトでは終わらない。現場でつかわれているか、顧客体験にあらわれているか、組織の判断が変わっているかを確かめ、必要に応じて見なおしていく。

ブランド戦略は、経営の判断軸を設計すること

ブランド戦略は、経営の判断軸を設計すること

Design the Decisionが、事業・組織・体験を統合する

Design the Decisionが、事業・組織・体験を統合する

BOELは、ブランド戦略を「表現を整えるための計画」だとは考えていない。ブランド戦略とは、企業がどの未来を選び、誰にどの価値で選ばれるのかを決め、その判断を事業・組織・体験へ落とし込むことである。

ブランドが強い会社は、言っていることが整っているだけではない。選ぶ事業、育てる文化、顧客にとどける体験が同じ方向を向いている。逆に、どれか一つがずれると、ブランドは外から見て不自然にうつる。

Design the Decisionは、このずれを整えるための方法である。ブランド戦略を経営の意思決定としてあつかうことで、企業は表現ではなく行動として選ばれる状態をつくることができる。

著者について

事業戦略・組織文化・ブランド体験を横断し、企業の判断軸を設計するストラテジック・デザイナー。

FAQ

ブランド戦略とは何ですか?
ブランド戦略とは、ロゴや広告の方針ではなく、事業戦略・組織文化・顧客体験を同じ判断軸でつなぐ経営活動です。ブランドが機能しない原因は、表現不足ではなく、経営・現場・接点の判断が分断されていることにあります。
ブランド戦略とは何を統合することか?
「事業戦略・組織文化・ブランド体験を一つの軸でつなぐ」と捉えることが要点です。事業戦略・組織文化・ブランド体験を統合する考え方を手がかりに、今ある取り組みや接点を一つずつ見直すと整理しやすくなります。
ブランド統合は、どこから始めるべきか?
まずは「ギャップを可視化し、判断軸を運用する」という考え方で、一つの接点や判断に絞って試します。最初から全体を変えず、結果を見ながら少しずつ広げていく方法が現実的です。
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