Brand Strategy / BX

Vol.168

author

ストラテジック・デザイナー

T.M.

ファンダムとは|応援される理由をつくる

- 買う人を集めるのではなく、語りたくなる体験を育てる

この記事の対象:
経営者ブランド責任者広報・販促担当者
ファンダムとは、商品を買う人の集まりではなく、好きな理由を持ち、自分の言葉で語る人たちの文化である。企業に必要なのは囲い込みではない。応援したくなる意味と体験を、接点ごとに育てることだ。
dotted lineこの記事の対象
経営者ブランド責任者広報・販促担当者
dotted line

この記事でわかること

  • ファンダムの意味
  • 応援される理由
  • 推し活から学べること
  • PROJECTSに見る体験設計
  • BOELの見方
stuffstuff

ファンダムとは何か

ファンダムとは何か

買う人ではなく、語る人が育つ状態

買う人ではなく、語る人が育つ状態

ファンダムとは、熱心な人を集めることではない。好きだと思う理由を持ち、その理由を自分の言葉で語り、まわりの人とも分かち合う文化である。推し活が広がった背景にも、買うだけでは終わらない関わりがある。人は、応援すること自体に意味を感じると、時間や気持ちを自然に注ぐ。企業が学ぶべき点はここにある。人を熱狂させる演出ではなく、語りたくなる理由を育てることだ。

なぜファンづくりで迷うのか

なぜファンづくりで迷うのか

売る仕組みだけでは、応援は生まれない

売る仕組みだけでは、応援は生まれない

ファンを増やそうとすると、会員制度、特典、投稿施策から考えがちである。これらは接点を増やす手段として役立つが、それだけではファンダムは育たない。中心にあるべきものは報酬ではなく意味である。なぜその会社を応援したいのか。なぜ人に伝えたくなるのか。なぜ自分の時間を使いたいのか。この問いに答えられない施策は、一時の反応を生んでも文化にはならない。

推し活から何を学べるのか

推し活から何を学べるのか

人は、意味のある体験を持ち帰る

人は、意味のある体験を持ち帰る

推し活が示すのは、人が機能や価格だけで動かないという事実である。人は、自分の価値観と重なる対象に、時間や気持ちを使う。そこには、応援する理由、関わる手ざわり、誰かと分かち合える物語がある。企業にも同じことが言える。優れた商品だけでは、応援される存在にはなりにくい。会社が何を大切にし、どのような未来をともにつくりたいのかを、体験の中で示す必要がある。

記憶に残る体験は、どう生まれるのか

記憶に残る体験は、どう生まれるのか

式場ではなく、家族と過ごす旅として設計する

式場ではなく、家族と過ごす旅として設計する

PROJECTSの「TOMAMU the WEDDING」では、結婚式をどこで挙げるかという選択ではなく、家族とどのような時間を過ごすかという体験として捉え直している。旅、自然、滞在、祝福の余韻をつなぎ、式場の魅力だけではなく、人生の節目をどう記憶に残すかを設計した事例である。

ファンダムも同じ構造を持つ。人は、便利さや価格だけではなく、あとから語りたくなる時間を覚えている。応援される会社は、記憶される体験を接点の中に持っている。

応援される接点には何が必要か

応援される接点には何が必要か

一貫した意味と、参加できる余白を両立させる

一貫した意味と、参加できる余白を両立させる

ファンダムを育てるには、会社がすべてを決めすぎないことも大切である。価値観は一貫して示す。

一方で、顧客が自分の言葉で語り、使い方を見つけ、まわりと分かち合える余白を残す。Webサイトは考えを伝える。商品やサービスは約束を体験に変える。発信は参加の入口になる。

接点がばらばらだと、人は何を応援しているのかを見失う。一貫した意味と参加の余白が重なると、ブランドは買われる対象から、ともに育つ存在へ変わる。

まず何から始めるべきか

まず何から始めるべきか

応援されたい理由ではなく、応援される理由を決める

応援されたい理由ではなく、応援される理由を決める

最初に考えるべきことは、ファンを増やす施策ではない。なぜ人がその会社を応援するのかを定義することだ。どの価値観に共感してほしいのか。どの体験を人に語ってほしいのか。どんな参加が自然に生まれてほしいのか。

次に、既存の接点を見直す。顧客はどこで会社の姿勢に触れているのか。どこで期待が高まり、どこで失望しているのか。小さく試し、人の語り方を観察することで、応援される理由は少しずつ明らかになる。

ファンダムは、関係を育てる設計である

ファンダムは、関係を育てる設計である

Design the Decisionが、応援の理由を体験にする

Design the Decisionが、応援の理由を体験にする

BOELは、ファンダムを熱狂の演出とは捉えない。会社がどの価値観を選び、どの体験を通じて人と関係を結ぶのかを決めることだと捉える。応援されるブランドは、偶然生まれるものではない。人が語りたくなる意味、参加したくなる余白、信頼を積み重ねる接点が設計されている。

Design the Decisionは、その判断を支える。誰に何を約束し、どの体験で関わり続けてもらうのかを決めることで、ブランドは消費されるものから、ともに育てられる存在へ変わる。

著者について

共感、参加、記憶をつなぎ、応援される体験を設計するストラテジック・デザイナー。

この記事のテーマ

#ブランディング#ブランド戦略#ブランド体験設計#Design the Decision

FAQ

ファンダムとは何ですか?
ファンダムとは、商品を買う人の集まりではなく、好きな理由を持ち、自分の言葉で語る人たちの文化です。企業に必要なのは囲い込みではなく、応援したくなる意味と体験を、接点ごとに育てることです。
なぜファンづくりで迷うのか?
「売る仕組みだけでは、応援は生まれない」と捉えることが要点です。応援される理由を手がかりに、今ある取り組みや接点を一つずつ見直すと整理しやすくなります。
まず何から始めるべきか?
まずは「応援されたい理由ではなく、応援される理由を決める」という考え方で、一つの接点や判断に絞って試します。最初から全体を変えず、結果を見ながら少しずつ広げていく方法が現実的です。
PREV
Vol.167あなたのリーダータイプはどれ?Z世代に支持される「共感型リーダー…
NEXT
Vol.169ストラテジックデザインとは|経営判断を設計する

MORE FOR YOU

ビジョンをデザインし、ブランドの未来を変える次の視点。