Design Management

Vol.105

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ストラテジック・デザイナー

T.M.

ブランド体験設計とは|接客に学ぶ

- 観察と提案を、選ばれる関係へ変える

この記事の対象:
ブランド責任者CX責任者店舗・サービス責任者マーケティング責任者
ブランド体験設計とは、画面や見た目だけでなく、人の言葉や振る舞いまで一つの約束でつなぐことです。接客の観察と提案を見直すと、売る場が、信頼を育てる場へ変わります。
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ブランド責任者CX責任者店舗・サービス責任者マーケティング責任者
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この記事でわかること

  • UI・UX・BXの違い
  • 接客がブランドになる理由
  • 振る舞いの判断軸の作り方
  • JUSANDIの体験設計
  • 体験を育てる確認方法
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UIやUXを整えれば、ブランド体験になるのか

UIやUXを整えれば、ブランド体験になるのか

接点の使いやすさを、会社らしい関係へつなぐ

接点の使いやすさを、会社らしい関係へつなぐ

UIは、人と商品やサービスがふれる接点です。UXは、その接点を使う前後も含め、人が受け取る体験です。BXはさらに広く、商品、接客、空間、ことばなどを通して、会社をどう感じるかまでを扱います。

画面が使いやすくても、問い合わせへの返事が冷たければ、体験は一つにつながりません。店内がきれいでも、声をかける時期が相手の気持ちと合わなければ、「自分を見てくれない会社」という印象が残ります。

ブランド体験設計では、接点を別々に直すのではなく、「この会社と関わると、どんな気持ちになれるか」から考えます。UIとUXは、その約束を実際の場で感じてもらうための重要な手段です。

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よい接客は、たくさん話すことなのか

よい接客は、たくさん話すことなのか

相手の動きを見て、必要な時に支える

相手の動きを見て、必要な時に支える

アパレルの接客では、声をかける量より、相手をよく見ることが重要です。何を手に取り、どこで立ち止まり、何を比較しているか。その動きには、まだ言葉になっていない迷いがあらわれます。

入店してすぐに話しかけられると、ゆっくり見たい人には負担になります。反対に、迷っているのに誰も来なければ、「大事にされていない」と感じることもあります。正解は一つの決まりではなく、相手の様子に合わせて時期を選ぶことです。

観察は、売るために相手を読むことではありません。安心して選べるように、距離をとるか、声をかけるかを判断することです。この小さな判断が、会社への信頼をつくります。

接客マニュアルがあれば、体験はそろうのか

接客マニュアルがあれば、体験はそろうのか

台詞ではなく、判断の拠り所を共有する

台詞ではなく、判断の拠り所を共有する

接客をそろえようとして、台詞や手順を細かくきめすぎると、相手がちがっても同じふるまいになりがちです。形はそろっても、相手への配慮がぬければ、体験はかえって機械的になります。

共有するべきなのは、「かならず三分以内に話しかける」といった命令だけではありません。たとえば「自分の速さで選べる安心を守る」という約束なら、スタッフは相手の様子を見ながら、近づくか待つかを判断できます。

ブランドの言葉を、現場で使える問いへ変えることが重要です。「この提案は、相手の選びやすさを助けるか」「この対応は、私たちの約束と合うか」。問いが共有されると、人が変わっても体験の向きがそろいます。

高級な設備だけで、特別な体験は生まれるのか

高級な設備だけで、特別な体験は生まれるのか

自然、建築、サービスを、過ごす時間でつなぐ

自然、建築、サービスを、過ごす時間でつなぐ

BOELのPROJECTS「JUSANDI」では、ラグジュアリーを豪華な設備ではなく、「どのような時間を過ごせるか」としてとらえ直しました。自然、建築、食、サービス、滞在の流れを、一つの考えでつないでいます。

めざしたのは、目立つおもてなしを重ねることではありません。静けさを壊さず、必要な時に支え、人が自分の感覚を取り戻せる状態をつくることです。空間と人のふるまいが同じ約束を伝えるからこそ、滞在全体がブランドになります。

接客も同じです。ことばだけをととのえるのではなく、距離、間、案内の順序までふくめて考える。そうすると、サービスは付け足しではなく、ブランドの価値を感じてもらう体験になります。→ 事例を読む

自社のブランド体験は、どこから見直すのか

自社のブランド体験は、どこから見直すのか

約束を決め、一つの接点で試す

約束を決め、一つの接点で試す

最初に、「お客さまに、どんな気持ちで選んでほしいか」を一文にします。早さ、安心、発見、静けさなど、事業に合う言葉を選びます。きれいな標語ではなく、判断に使えることが大事です。

次に、問い合わせ、来店、提案、購入後などの接点を並べ、相手が迷う場面と、現場が判断に困る場面を見つけます。両方が重なるところは、体験を変えやすい場所です。

そこで一つの判断軸をきめ、小さく試します。声をかける時期、伝え方の順序、選ぶこと肢の見せ方などを変え、お客さまとスタッフの声を聞きます。うまくいった理由まで共有すると、他の接点へ広げられます。

ブランド体験の良し悪しは、どう確かめるのか

ブランド体験の良し悪しは、どう確かめるのか

売上とともに、迷い、負担、一貫性を見る

売上とともに、迷い、負担、一貫性を見る

売上は大事ですが、それだけでは体験の中身はわかりません。強い値引きで売上が増えても、会社への信頼が育ったとは限らないからです。

確かめたいのは、お客さまが迷わず選べたか、伝え方を理解できたか、また関わりたいと思えたかです。同時に、スタッフが無理なく振る舞えたか、部門ごとに伝え方が違っていないかも見ます。

問い合わせの内容、離れる場所、再訪、紹介、現場の声を組み合わせると、どの接点が信頼を育て、どこが約束を破っているかが見えます。数字と会話を繰り返し見直すことが、体験を育てる運用になります。

ブランドは、どこで人に伝わるのか

ブランドは、どこで人に伝わるのか

小さな振る舞いに、会社の意思を通す

小さな振る舞いに、会社の意思を通す

ブランドは、ロゴや広告を見たときだけ伝わるものではありません。返事の速さ、声のかけ方、伝え方の順序、相手が考えるための間にも、会社の姿勢があらわれます。

大きな企画を始める前に、毎日の振る舞いを見直すことには意味があります。小さな接点は回数が多く、人の記憶に会社らしさを積み重ねるからです。

BOELが考えるブランド体験設計は、現場を型にはめることではありません。会社の約束を、一人ひとりが使える判断のよりどころへ変えることです。その判断が観察と対話の中で育つと、接客は売るための動作から、選ばれるつながりをつくる振る舞いへ変わります。

著者について

経営の意図を、お客さまや社会が受け取れる体験へ翻訳するストラテジック・デザイナー。事業、組織、接点をつなぎ、判断の拠り所を設計する。

この記事のテーマ

#UX#サービスブランディング#おもてなし#ブランド体験設計#顧客インサイト

FAQ

UI、UX、ブランド体験は、何がちがいますか?
UIは一つの接点、UXは使うことの前後を含む体験、ブランド体験は商品や接客、言葉、空間を通して会社をどう感じるかまでを扱います。
接客マニュアルを作れば、ブランドらしさはそろいますか?
手順だけでは十分ではありません。会社が守りたい約束を、げんばで使える問いや判断軸へ変えると、相手に合わせながら向きをそろえられます。
どの接点から見直すべきですか?
お客さまの迷いと、スタッフの判断の迷いが重なる接点から始めます。小さく試し、両方の声を聞いてから広げるやり方が現実的です。
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