多言語Webサイトはどう設計する?
- 翻訳だけに頼らず、迷わない体験をつくる
この記事でわかること
- 翻訳だけでは伝わらない理由
- 利用者と言語を決める方法
- 迷いにくい情報と導線の整え方
- 文化の違いを確かめる方法
INDEX
翻訳すれば外国人にも伝わる?
誰に向けて設計すればいいのか
言語が変わると画面はなぜ崩れる?
案内サイトにもブランド体験は必要?
色や記号は世界共通で伝わる?
公開後も伝わる状態をどう保つ?
多言語対応は何を伝えるのか?


翻訳すれば外国人にも伝わる?
翻訳すれば外国人にも伝わる?
言葉だけでなく、行動までの体験を整える
言葉だけでなく、行動までの体験を整える
多言語Webサイトで起きやすい失敗は、日本語の文章をそのまま別の言語へ置き換えれば伝わる、と考えることである。正しい訳でも、情報の順番が分かりにくい、押すところが見つからない、記号の意味が通じないと、使う人は次の行動へ進めない。
大切なのは、翻訳を入口にして、見る、理解する、選ぶ、申し込むまでの流れを整えることである。Webサイトで受けた印象は、そのまま会社やサービスへの安心感につながる。多言語対応は、言葉の作業ではなく、ブランド体験を設計する仕事だと考える必要がある。
誰に向けて設計すればいいのか
誰に向けて設計すればいいのか
国籍ではなく、目的と利用場面から決める
国籍ではなく、目的と利用場面から決める
「外国人向け」という言葉だけでは、設計の基準を決められない。旅行者と生活者では必要な情報が違い、初めて訪れる人と何度も使う人でも迷うところが変わる。まず、誰が、どこで、どの端末を使い、何を知り、最後に何をしたいのかを書き出す。
そのうえで、必要な言語と情報の深さを決める。すべてを同じ量で訳すのではなく、緊急時の案内、予約、料金、場所など、行動に直結する情報から優先する。対象を具体的にすると、翻訳の範囲だけでなく、画面の構造や運用の責任も決めやすくなる。
言語が変わると画面はなぜ崩れる?
言語が変わると画面はなぜ崩れる?
短い文章と単純な情報構造を先につくる
短い文章と単純な情報構造を先につくる
言語が変わると、文章の長さや改行の位置も変わる。日本語に合わせて小さな枠へ文字を詰めると、英語などでは文字が入りきらず、ボタンや見出しが読みにくくなる。画像の中へ文章を入れると、翻訳や更新にも手間がかかる。
一文を短くし、一つの文で一つの内容を伝える。見出し、説明、行動ボタンの役割を分け、文字は画像ではなく更新できる形で置く。言語を切り替える場所は、どの画面でも見つけやすくする。やさしい日本語も用意すると、機械翻訳の精度を支え、日本語を学ぶ人にも届きやすくなる。
案内サイトにもブランド体験は必要?
案内サイトにもブランド体験は必要?
機能案内と、その場所らしさを一つにつなげる
機能案内と、その場所らしさを一つにつなげる
函館空港のPROJECTSでは、空港を移動のための施設ではなく、函館という地域と初めに出会う場所として捉え直した。フライトや施設の案内だけでなく、観光や地域の情報をつなぎ、到着した人が次の行動を思い描ける体験へ整えている。
多言語Webサイトでも同じ考えが役立つ。必要な情報へ早く着けることと、その会社や地域らしさを感じられることは、分けて考えるものではない。機能と印象を一つの流れにすると、使う人の安心と期待を同時に作れる。
色や記号は世界共通で伝わる?
色や記号は世界共通で伝わる?
共通だと思いこまず、意味を利用者と確かめる
共通だと思いこまず、意味を利用者と確かめる
色や記号は、文字がなくても伝わるように見える。しかし、その意味は文化や経験によって変わる。日本で見慣れた案内の印が、別の地域では目指すことと違う意味に受け取られることもある。色だけで状態を示すと、見分けにくい人へ情報が届かない。
大切な案内には、記号だけでなく短い言葉を添える。色、形、位置を組み合わせ、どれか一つに頼らないようにする。そして、対象とする人に画面を見てもらい、何を意味すると思うか、次にどこを押すかを確かめる。文化への配慮は知識だけで完結せず、確認の仕組みまで含む。
公開後も伝わる状態をどう保つ?
公開後も伝わる状態をどう保つ?
利用確認と更新の責任を運用に組み込む
利用確認と更新の責任を運用に組み込む
多言語Webサイトは、公開した時点で完成ではない。日本語だけが更新され、ほかの言語が古いままになると、使う人はどの情報を信じればよいか迷う。機械翻訳を使う場合も、料金、規約、安全に関わる内容は人が確かめる必要がある。
公開前には、対象の言語を使う人に主要な行動を試してもらう。公開後は、離脱が多い画面、検索される言葉、問い合わせの内容を見て直す。どの情報を、誰が、いつ更新するかも決める。小さく試し、学びを次の更新へつなぐ運用が、伝わる状態を守る。
多言語対応は何を伝えるのか?
多言語対応は何を伝えるのか?
異なる人を受け入れる会社の姿勢を形にする
異なる人を受け入れる会社の姿勢を形にする
多言語Webサイトの目指すことは、言語の数を増やすことではない。異なる背景を持つ人が、必要な情報を理解し、自分で選び、安心して行動できる状態を作ることである。
BOELは、言葉、画面、案内、運用を別々に直すのではなく、会社が誰と、どのような関係を育てたいかという考えから整えることが大切だと考える。翻訳の正しさに加えて、迷いにくさと、その会社らしい振る舞いを揃える。その積み重ねが、文化を越えて信頼されるブランド体験になる。
著者について
企業やサービスの価値を整理し、利用者の体験と事業の判断をつなぐブランド設計に取り組んでいます。
FAQ
- 多言語Webサイトは、何語から始めればよいですか?
- 利用者の数だけで決めず、問い合わせや売上への影響、緊急性、更新できる体制から優先順位を決めます。まず一つか二つの重要な言語と主要な行動にしぼり、使われ方を見ながら広げる方法が現実的です。
- 機械翻訳だけで公開してもよいですか?
- 補助として使えますが、料金、規約、安全、申し込みにかかわる文章は人による確認が必要です。機械翻訳を使う範囲と、必ず確認する範囲を先に分けておくと運用しやすくなります。
- どこから改善すればよいですか?
- 予約、問い合わせ、場所の確認など、利用者がもっとも多く行う一つの行動から見直します。対象者に操作してもらい、迷った場所を直してから、ほかの画面へ広げます。





