国際文化会館

国際文化会館

The International House of Japan

アジア・太平洋地域の“知の拠点”を再構築する

知的活動と研究機能を統合し、“知を社会へ開く体験”を再設計したプロジェクト
国際文化会館は、国際交流や知的対話を通じて、日本と世界をつなぐ活動を長年続けてきた組織である。
近年では、アジア・太平洋地域における研究活動や政策提言機能の強化を目的として、Asia Pacific Initiative(API)との統合を進め、シンクタンク機能の拡張を図っていた。
一方で、組織の成長とともに、Webサイトや情報資産は複数のドメインへ分散し、活動同士の関係性や組織全体の構造が外部から見えづらくなっていた。
様々な知的活動が個別の情報資産として存在していたことで、国際文化活動、研究活動、政策提言といった国際文化会館の活動全体を横断的に理解しづらい状態が生まれていた。
また、当時のWebサイト群は、研究や政策提言に関する高度な情報が数多く存在する一方で、初めて訪れるユーザーにとっては、「何をしている組織なのか」「どこから見ればよいのか」が直感的に理解しづらい構造となっていた。
特に、知識や背景理解を前提とした情報設計になっていたことで、既存の関係者には届く一方、新しく関心を持った人や海外ユーザー、一般参加者にとっては、知的活動へ参加・接続しづらい状態が生まれていた。
本プロジェクトでは、分散していた研究・プログラム機能を統合し、独立した「Program」サイトとして再構築することで、国際文化会館が掲げる「アジア・太平洋地域の知の拠点」という新しいビジョンを社会へ提示するブランド基盤を構築している。
また、本プロジェクトは“知を社会へどう開いていくか”という体験そのものを再設計し、国際対話を次世代へ接続していくための取り組みでもあった。

課題

分散した情報構造が、“知への参加体験”を難しくしていた

国際文化会館では、国際交流、研究活動、政策提言など、多様な知的活動が行われていた。しかし、それぞれの活動が独立したWebサイトや情報構造の中で展開されていたため、組織全体として何を目指しているのかを外部から理解しづらい状態になっていた。
特に、AP Initiativeとの統合によって研究・シンクタンク機能が拡張される中、既存の情報構造では、新しい組織像や活動の広がりを十分に伝えきれなくなっていた。
また、研究レポート、イベント、プログラム、政策提言など、多岐にわたるコンテンツが存在していた一方、それらが相互につながらず、利用者にとっても知的活動全体の文脈を理解しづらい状態が生まれていた。
さらに、サイト構造そのものも複雑化しており、目的のページへ辿り着けない導線や、途中で外部サイトへ分断される体験も多く存在していた。
その結果、「興味はあるが、どこを見ればよいかわからない」「活動内容が難しく感じる」「自分に関係する情報へ辿り着けない」といった状態が生まれ、“知を社会へ開く”という国際文化会館の思想と、実際のブランド体験との間にギャップが生じていた。
本来、国際文化会館が目指していたのは、単なる研究機関や文化施設ではなく、多様な立場の人々が集まり、対話を通じて新しい知を生み出していく“知的交流のプラットフォーム”である。
しかし、情報や活動が分散していることで、その思想や全体像が十分に可視化されていなかった。
そのため、組織としての知的活動をどのように整理し、社会へ接続していくのかを、ブランド体験や知的交流のあり方そのものを含めて再設計する必要があった。

解決

“知っている人のためのサイト”から、“社会へ開かれた知のプラットフォーム”へ

本プロジェクトでは、Programサイトを単なる情報集約サイトではなく、「国際文化会館の知的活動を横断的に理解し、参加できるプラットフォーム」として再定義した。
分散していた研究活動やプログラム機能を統合することで、イベント、研究、政策提言、国際対話といった多様な活動を、一つの思想と文脈の中で理解できる構造を構築している。
また、本プロジェクトでは、単に情報を一覧化するのではなく、「国際文化会館はどのような対話を生み出そうとしているのか」「どのような未来を構想しているのか」が自然に伝わるブランドコミュニケーションを重視した。
さらに、情報設計においては、「誰に何を届けるのか」を整理し直し、専門家だけではなく、一般参加者や海外ユーザーを含む多様なステークホルダーが、自分に必要な情報へ自然に接続できる導線設計を再構築している。
研究テーマや活動領域、イベント、アーカイブなどを横断的に接続することで、“点在していた知”を、一つの知的体験として理解できる構造へ再編した。
また、本プロジェクトでは、研究や政策提言を単に閲覧するのではなく、利用者自身が知的対話へ参加していく感覚を持てるブランド体験の設計を重視している。
さらに、アジア・太平洋地域における知的交流の拠点として、多様な研究者、政策関係者、文化人、次世代リーダーなどが交差する場としての国際文化会館の価値を可視化することで、組織全体の輪郭を再構築している。
本プロジェクトでは、「研究成果を発信するサイト」ではなく、「知的活動そのものを社会へ開いていくブランド体験」として設計している。

結果

分散していた知的活動が、“ひとつの知の体験”として機能する状態へ

これらの取り組みにより、Programサイトは単なる研究・イベント情報サイトではなく、「アジア・太平洋地域における知的交流を支えるプラットフォーム」として、新しいブランド価値を形成している。
利用者は個別の研究やイベント情報を見るだけではなく、それぞれの活動がどのようにつながり、国際文化会館がどのような思想やビジョンを持っているのかを横断的に理解できるようになっている。
また、分散していた情報資産を統合することで、研究活動やプログラムへのアクセス性だけではなく、知的活動と社会との距離を縮める基盤としても機能し始めている。
さらに、従来は“知っている人しか使いこなせない”状態になっていた情報構造を見直したことで、専門家だけではなく、一般参加者や新しいステークホルダーに対しても、国際文化会館の活動や思想を開いていくための基盤づくりにつながっている。
本プロジェクトを通じて、「研究成果を発信する」のではなく、「対話と知的交流を社会へ開いていく」という考え方は、国際文化会館における新しいブランドコミュニケーションのあり方を形づくることにもつながった。
結果として、このプロジェクトは、国際文化会館が掲げる「アジア・太平洋地域の知の拠点」というビジョンを、組織構造・情報設計・ブランド体験を通じて社会へ提示する取り組みとなった。
本プロジェクトは、「情報を整理する」ことではなく、「知的交流を社会へ開いていく」という思想から生まれている。
多様な人々や知が交差し、新しい対話や価値が生まれていく“知的交流の基盤”を再構築する取り組みとなった。

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