キャリアをつくる学校

CAREER MAKE SCHOOL

“会社のための研修”を、“自分の未来をつくる学び”へ

社員一人ひとりの自主性と内発的なモチベーションを尊重し、“企業と社員の関係性”を再設計したブランドプロジェクト
Career Make School は、住宅メンテナンス事業を展開するテオリアハウスクリニックが立ち上げた、“社員のキャリア形成”を支援する学びのプロジェクトである。
急速に変化する時代の中で、会社と社員の関係性は大きく変わり始めていた。
終身雇用を前提とした働き方が揺らぎ、「会社のために働く」という価値観だけでは、社員のエンゲージメントや成長意欲を維持しづらくなっていたのである。
そうした中で、テオリアが目指したのは、単なる社員教育ではない。
「社員一人ひとりが、自分自身の人生やキャリアを考え、自ら学びたいと思える環境をつくること」だった。
この構想の背景には、テオリアで30年以上働き続けてきた野田氏自身の原体験がある。
新卒で入社した野田氏は、シロアリ防除の現場からキャリアをスタートさせた。
床下へ潜り込み、住宅を守るために働く中で、「この先も、この仕事だけを続けていくのか」と、自身の将来に不安を感じた時期があったという。
その後、社内の様々な部署や職種を経験しながら、シロアリ防除だけではなく、断熱・湿気対策・住宅診断など、住宅に関わる新規事業を次々と立ち上げてきた。
一方で、「もし自分がシロアリの仕事しか知らないまま年齢を重ねていたら、将来の選択肢を狭めてしまっていたかもしれない」。そんな危機感も抱えていた。
テオリアには、住宅を守るために、人知れず現場を支える社員が数多く存在している。
野田氏は、そうした“縁の下の力持ち”として働く社員たちが、誇りを持ちながら仕事に向き合う姿を見続ける中で、「この人たちの未来に、会社として何ができるのか」を強く考えるようになったという。
「みんなが花形の仕事に就けるわけではない。でも、自分の人生を考え、面白いと思えることを学ぶ機会は持てるはずだ」。
その思想を軸に、Career Make School は構想されている。
BOELでは、この取り組みを単なる研修制度としてではなく、“企業と社員の新しい関係性”をつくるブランドプロジェクトとして再定義した。
社員が主体的に学び、自分の可能性に気づいていく。その内発的なモチベーションが生まれるプロセスそのものを、大切な価値として設計している。

課題

“会社に適応させる研修”では、人は動かなくなっていた

従来の企業研修では、「会社が求める人材像」に合わせた教育設計が主流だった。
しかし、価値観が多様化し、働き方が大きく変化する現代において、その一方向的な学びだけでは社員の意欲を引き出しづらくなっていた。
特に若い世代では、「会社のための研修」に対して距離を感じるケースも少なくなかった。
「この会社で一生働くわけではない」
「自分に何が向いているかわからない」
「学ぶことがプレッシャーになる」
そうした不安や迷いを抱えながら働く社員も増えていた。
テオリアでも、外部研修や教育プログラムを導入していたものの、社員の意識変化にはつながりづらい状況が続いていた。
背景にあったのは、「会社が社員を変えようとする構造」そのものだった。
会社側が理想像を設定し、その方向へ社員を適応させようとするだけでは、学びは“自分ごと”になりにくい。
一方、テオリアが本来大切にしてきたのは、「人に誠実であること」だった。
それはお客様だけではなく、社員との関係性にも表れていた。
だからこそ必要だったのは、“会社に合わせるための研修”ではなく、「社員一人ひとりの人生やキャリアに寄り添う学び」へ発想を転換することだった。
しかし、その思想を単なる制度として導入するだけでは、社員の心には届かない。
社員が安心して参加でき、自分の可能性に前向きになれる空気感や関係性まで含めて設計する必要があった。

解決

“社員教育”ではなく、“自分の未来を考える体験”を設計する

BOELは、Career Make School を単なる研修制度ではなく、「社員が自分自身の未来と向き合うための学びの場」として再構築した。
重要だったのは、“会社が社員を育てる”という構造から脱却することだった。
そこで、「なりたいジブンをデザインする。」というコピーを軸に、社員自身を主語にしたコミュニケーションを設計した。
「会社の期待に応えるために学ぶ」のではなく、「自分の未来のために学ぶ」。
外側から与えられる学びではなく、社員一人ひとりの内発的なモチベーションを引き出すことを重視した。
その価値観の転換を、ブランド全体で可視化した。
プロジェクトでは、経営層へのヒアリングだけではなく、社員が抱える不安や価値観にも丁寧に向き合いながら、テオリアらしい学びのあり方を整理していった。
BOELが重視したのは、“制度”ではなく“関係性”である。
評価制度やキャリアパスを整備する前に、「会社は社員の人生にどう向き合うのか」という思想そのものを可視化する必要があった。
そのため、デザインにおいて「押し付け感」を排除し、安心感や親しみ、主体性を感じられるトーンを構築している。
また、「答えは顧客のビジョンにある」というBOELの思想のもと、テオリアが長年育んできた企業文化や人との向き合い方を掘り下げ、“テオリアらしい学び”として翻訳した。
結果として、Career Make School は、「社員一人ひとりが、自分の可能性に気づくための場」として設計されている。

結果

“やらされる研修”から、“自ら学びたくなる体験”へ

これらの取り組みにより、Career Make School は、従来の企業研修とは異なる新しい学びの価値を生み出している。
当初は数人程度の参加を想定していたが、実際には30名近い社員が参加を希望した。
これまで「研修が苦手」と感じていた社員までもが、自ら手を挙げる状態が生まれている。
さらに、受講者の中から「自分が講師として参加したい」と声を上げる社員も現れた。
受け身だった学びが、“自分ごと”へ変化し始め、社員の内側から主体性や学びへの意欲が生まれ始めていたのである。
この変化は、単なるスキル習得ではない。
社員一人ひとりが、「自分はどう生きたいのか」「どんなキャリアを築きたいのか」を主体的に考え始めたことに大きな意味があった。
また、この取り組みは、社員エンゲージメントの向上だけではなく、「社員を大切にする企業文化」そのものを社内外へ可視化することにもつながっている。
Career Make School は、“会社に適応するための教育”ではなく、社員が自分の未来を描くための“学び”へと価値を転換した。
結果として、このプロジェクトはインナーブランディングを超えた、“企業と社員の新しい関係性”を再設計する取り組みとなった。
それは同時に、AI時代・転職時代において、「企業は社員とどう向き合うべきか」という問いに対する、新しい組織ブランディングのあり方を提示するプロジェクトでもあった。
この取り組みの根底にあるのは、「会社に必要な人材を育てる」ことではなく、「社員一人ひとりが、自分自身の未来を主体的に描き、内発的なモチベーションを育める環境をつくる」という思想である。
企業と社員の関係性を、“管理”から“共創”へ。
Career Make School は、その新しい時代の学びの形を可視化する取り組みとなった。

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